甲府市塩部3丁目の介護職員原摂子さん(54)が、第58回全日本サーフィン選手権大会の部門別で初めて優勝した。海が近くにない環境の中、近県へ通って練習し、陸上トレーニングも続けるなどして“ハンディ”を克服。優勝により、今年のクラス別ランキング1位も獲得した。今年は6年越しの目標だったライセンスも取得し、「諦めずに続けてきて良かった」と笑顔を見せる。
原さんは海が好きで、憧れていたサーフィンを33歳で始めた。40代の4年間、夫裕治さん(66)の仕事の都合で八丈島に住んだ間は、職場の理解を得て、ほぼ毎日サーフィンをしてから出勤。「いい波が来る環境でベースができた」と振り返る。
山梨に戻り、46歳で日本サーフィン連盟に登録。静岡・静波を中心に、新潟や茨城などの海で練習を重ねてきた。ジムでの体力作りのほか、スケートボードによるトレーニングも積んだ。
「大会では、そのときに来た波を乗りこなさないといけない。どこでどんな波になるかなど、波を見極める力が必要」と原さん。毎日のように海に入れない分、プロの映像を見るなどして波の選択を勉強。自分の動きもプロに見てもらい技術を磨いた。
ただ県外まで通う練習は次第に負担になってきていた。今年は大会出場はしないつもりだったが、全日本に52歳以上のクラスが新設されることになり、集大成と位置づけて挑戦した。
9月に宮崎県で開催され、女性のショートボード52歳以上部門に出場。優勝という結果に「自分のコンディションだけでなく、運などあらゆるものが味方してくれた」と喜ぶ。仲間からは「山梨は海がないのにすごい」とたたえられたという。
5月には同連盟によるサーフィン検定で、ショートボード種目で最上級の1級にも合格した。「1級の人のレベルの高さが刺激になっていた」と目標にしていた。
今後はサーフィンを趣味で続けながら、1級資格を生かして検定のジャッジとしても活動する予定。「サーフィンは難しくて、簡単にできないところにはまったと思う。年長者としてみんなが目標にもしてくれた。しっかりジャッジもしていきたい」