中央市を拠点に自然保護活動を行うグループ「まちづくり時習塾」が、20年余りにわたって常永川と釜無川の合流地点で自然観察会を続けています。護岸工事などで周囲の環境は大きく変化し、観察できる生き物は減少していますが、思いがけない生き物との出合いに「元気をもらう」といいます。メンバーは「地域の人にここを好きになってもらい、身近な自然を守りたい」と思いを込めて活動しています。
観察会は1999年にスタート。魚やバッタ、鳥などテーマを決めて、年に数回開いています。時習塾によると、当初はポプラやヤナギなど大きな木が茂り、オオタカが狩りをしていたり、河原ではカヤネズミが巣を作ったりしていましたが、水害防止のための砂利採取や護岸整備などが進むにつれ、姿を消してきたといいます。
周辺ではリニア中央新幹線の建設工事も行われていて、環境が大きく変化。事務局の名執真理子さん(67)は「観察会で見せられるものがなくなってきてしまいました」と危機感を募らせます。
今年は9月11日に田富ふるさと公園を拠点に、バッタの観察会を開きました。地元田富北小の親子17人が参加。従来の観察会会場より下流側で、トノサマバッタとカワラバッタを観察しました。カワラバッタはきれいな青色の羽が特徴で、子どもたちは歓声を上げて見入っていました。
同校1年の篠崎皓君は「カワラバッタを初めて知りました。色がきれいでした」と感想。母の絵梨さん(42)は「自分の住んでいる所で虫を見たり捕ったりした経験はいい思い出になると思います」と話していました。
名執さんは「周辺の工事の影響で、従来の所では見られなくなったカワラバッタが(今回の場所では)見られました。まだ自然はへこたれていないと元気をもらいました」と振り返ります。「河原を見る人が増えないと豊かな自然は守れません。多くの人がここの生き物や自然を好きになってくれるといい」と話しています。
イベント名 | 河原で自然観察20年「身近な生き物愛着を」 |