甲府市が、名古屋市の民間事業者と連携し、水素を貯蔵できる金属を用いて水素を充填した容器「水素カートリッジ」を活用した実証実験を行うことを決めました。日常生活にも身近なアイテムとして、水素カートリッジを搭載した電動アシスト自転車の開発を進め、市民生活への水素エネルギーの浸透を目指す方針です。
実証実験は、水素カートリッジの開発などを手掛ける「ABILITY(アビリティ)」と協定を結んで実施します。同社によると、開発した水素カートリッジは「水素吸収合金」を使い、高圧化しない状態で水素を吸収、放出できる仕組みです。使う際に複雑な手順が必要ないため誰でも気軽に利用できるほか、すでに同社が試作した自転車では、重さ2㌔のカートリッジで約50㌔の走行が可能だったといいます。本年度は自転車メーカーの協力を受けてカートリッジを搭載した自転車の開発に取り組み、形状が異なる3タイプほどの開発を想定しています。
甲府市は来年度、実証事業として自転車を活用し、結果を踏まえて新たな製品を検討、導入する方針です。市環境部は「県とも連携し、将来的には水素エネルギーの地産地消を図っていきたい」としています。市役所で行われた協定の締結式で、同社の宍戸智彦CEO取締役は「簡単便利に使える水素の利活用を推進し、脱炭素社会実現に貢献していきたい」とあいさつ。樋口雄一市長は「小口水素の利活用が進むことで、脱炭素化の加速や、水素エネルギーが浸透した新たな街づくりにつながる」と期待を寄せていました。