レポート
2022.07.21

日川で魚生息数調査 釣り人協力 増加可視化

峡東漁業協同組合と国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所などは5年前から、甲州市内を流れる日川で、アマゴとイワナの推定生息数の推移を調べています。標識放流法と呼ばれる方法で釣り人と協力して調査する「世界的に珍しい方法」(研究所)だそうです。2019年の台風の影響で推定量が激減しましたが、ここ数年で回復傾向にあることが分かるなど、継続調査が生息状況の「見える化」に貢献。組合員らは「台風前の生息数に戻ってくれれば」と期待しています。
 漁協大和支部によると、日川では約18年前、川底に人工産卵場の整備を開始。毎年組合員や釣り人が参加して産卵場をきれいに保っていて、稚魚の放流などは行わずに川魚の生息環境を維持してました。こうした活動の中で、組合員や参加者から「実際どのくらい魚がいるのだろうか」という声が上がり、18年度から研究所などと協力して資源量調査を実施しています。
 調査対象は甲州市塩山上萩原の一の平橋から日川ダム下の約500メートル。水中に放電して魚を気絶させる電気ショッカーで捕獲したアマゴとイワナの全長を測り、背びれと尾びれの間にある「アブラビレ」を切って印をつけ、再び放流します。調査範囲内で釣りをした人にヒレの有無などを報告してもらうことで、生息数を推定します。
 18年度は3048匹、19年度は1445匹でしたが、19年の台風で稚魚が流れてしまうなどの影響を受け、20年度は545匹にまで減少。ただ21年度は1671匹まで回復。組合員は「このままV字回復し、元の数に戻ってくれることを期待したい」と話しています。
 6月12日には22年度の活動があり、研究所の坪井潤一主任研究員や漁協組合員ら8人が参加。電気ショッカーで計291匹を捕獲し、アブラビレを切って再び放流しました。調査は8月15日まで。釣り人に釣り上げたアマゴとイワナのアブラビレの有無を報告してもらい、釣った魚は放流するよう呼び掛けています。
 坪井主任研究員は「市民参加型の調査は世界的にも珍しい。釣り人に魚の数を意識してもらうことでさらに日川に愛着を持ってもらえればうれしい」と話しています。

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イベント名日川で魚生息数調査 釣り人協力 増加可視化
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