市川三郷・青洲高商業科の生徒9人が生コンクリートを加工する際の排水を使い、和紙を製造する研究をし、商業科の高校生らが研究成果を競う全国大会で山梨県勢初の最優秀賞に輝きました。排水は一般的に産業廃棄物として処分されますが、生徒は性質を生かして和紙作りの工程で活用。製造した和紙でサウナハットを制作しました。生徒は「環境問題の解決や地場産業の発信につなげたい」と話しています。
2、3年生9人で研究チームを結成しました。1学期に土木工学科の実習に加わり、コンクリート加工を体験したことが研究のきっかけです。排水が強アルカリ性で、薬品で中和して産業廃棄物として捨てていると知り、有効活用の手だてを考えました。
高校で市川和紙を製造する授業を受けた際、紙の原料となるコウゾの繊維をほぐす「煮熟」の作業で、酸性のコウゾを中和するために強アルカリ性の苛性ソーダを使ったことに生徒たちが着目。排水で代替できるかを実験しました。
排水は泥や砂が含まれていない「上澄水」を使用。土木工学科と共同で実験し、身延町の製造業者の協力を得て和紙作りを試したところ、通常の工程の和紙と遜色がなかったといいます。業者が持つ「ぬれない和紙」の製造技術を組み合わせ、サウナブームにあやかって和紙のサウナハットを試作しました。
成果は11月に東京都内で開かれた、第31回全国高校生徒商業研究発表大会で発表。コンクリート業者と和紙業者を結びつけるパートナーシップ構築の必要性を訴え、サウナハットを披露しました。研究の着眼点や取り組み内容、発表の内容などが審査され、最優秀賞に選ばれました。
12月6日には高校で全校生徒に研究内容を発表。18日には甲府・県防災新館で、県教委の降籏友宏教育長に受賞を報告しました。
チームのキャプテンは「県の代表として出場し、外部の人に評価してもらえたことで取り組みが実になりました。環境問題の解決や地元産業の発信につなげたいです」と話していました。