甲府市の県立施設「武田の杜保健休養林」で、カタツムリの希少種の赤ちゃんが次々と誕生しています。秩父山系固有の「チチブギセル」は昨年に続いて繁殖し、順調に成長。「オクガタギセル」は、初めて繁殖しました。いずれも同施設で展示されています。秩父山系は甲武信ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に位置付けられていて、施設の担当者は「カタツムリを通して、秩父山系の豊かな自然環境を知ってほしい」と話しています。
チチブギセルは細長い見た目が特徴で、成体の大きさは2センチほど。施設によると、秩父山系の埼玉県側を中心に生息しているとされていて、同県のレッドデータブックに掲載されています。
施設では県内で見つけた人から借り受け、2年前から飼育と展示をしています。昨年は8月上旬に4匹が生まれましたが、8ミリほどに成長した10月ごろ死んでしまいました。
今年は5月中旬から7月初めにかけて、9匹の赤ちゃんを確認。昨年の経験を踏まえて飼育環境を整え、6月末時点で、大きいもので1・5センチ程度に成長しました。成体と同じように、レタスやキュウリ、イカの骨などを食べているそうです。
オクガタギセルも細長い形で、環境省のレッドリストで「準絶滅危惧」に分類されています。チチブギセルと同様に借り受けて飼育していて、6月下旬に2匹が生まれているのを見つけました。現在、体長は8ミリほどになっています。
村山力所長によると、秩父山系は活火山がないため森林が安定していて、運動能力が低いカタツムリも生息できる豊かな環境があるといいます。2種とも詳しい生態は分かっておらず、成長の記録などを関係機関に情報提供しています。村山所長は「希少種を増やす研究に役立ててもらいたいです」と話しています。