小菅村のNPO法人「多摩源流こすげ」の活動が、日本ユネスコ協会連盟(東京)が地域の文化・自然遺産の継承に取り組む市民活動を応援する「プロジェクト未来遺産」に選ばれました。県内団体の選出は初めてです。多摩川源流域の自然と文化を守ろうと、村内外から参加者を募り、在来種の継承を目指す農業や食文化の体験プログラムなどを実践してきたことが評価されました。
多摩源流こすげは、多摩川源流域の保全と活用を図ろうと2010年に設立されました。これまでに山林の水源涵養力を高めようと、広葉樹の植樹や環境保全に取り組む人材を育成。一般の参加者や大学生と協力し、ジャガイモやワサビの在来品種を栽培して次世代に継承するプロジェクトを行っています。
村の郷土料理を味わうイベントのほか、山登りや川遊びを通じて自然を学んでもらう体験プログラムも実施。地域に伝わる神楽や舞などを後世に残そうと、映像媒体に記録する活動にも取り組んでいます。
プロジェクト未来遺産は2009年に始まり、これまでに40都道府県で79件が登録されました。昨年度は33件の応募があり、書類選考や専門家による現地調査などを経て、今年3月に多摩源流こすげを含む6件の登録が公表されました。登録団体には賞金20万円を贈り、日本ユネスコ協会連盟の公式ホームページや交流サイト(SNS)などを通じて活動内容の周知も図っています。
多摩源流こすげの担当者は「これまでの活動が認められてうれしいです」と喜びを語ります。「少子高齢化による過疎化で、多摩川源流域の自然や文化を守れるかは瀬戸際の状態にあります。多くの方々の支援を得て、今後も頑張っていきたいです」と力を込めていました。