生活に身近で、使い勝手がいいプラスチック製のレジ袋。なぜ有料化が必要なのか、ライフスタイルにどう影響するのか。帝京科学大生命環境学部(物理化学)の仲山英之教授に聞きました。
有料化は、レジ袋の利用を抑え、プラスチックごみを削減することが目的です。5ミリ以下に砕けた「マイクロプラスチック」による深刻な海洋汚染が背景にあり、仲山教授は「海の漂着物だけでなく、河川から相当量が流れ出ていて、内陸県であっても無関係ではない」と指摘します。
仲山教授らが2018年に実施した調査によると、富士川から検出されたマイクロプラスチックの量は、1日当たり約500グラムのプラスチックの塊を粉砕して駿河湾に投げ込んでいることに相当。上流を含む山梨県内主要5河川の全24地点の調査でもマイクロプラスチックは確認され、「名水を誇っている県だけに残念な結果でした」。
人体への影響ははっきりしていません。ただ、有害化学物質を吸着する特性があり、それを取り込んだ魚などが食卓に並ぶ可能性はあります。プランクトンや、それを食べる魚が減るなど、生態系への影響も危惧されるといいます。
元のプラ製品として分かっているのは人工芝や農業用肥料のコーティング。ほかにコーン標識やコンテナなども想定されます。「身の回りのあらゆる物に可能性があり、無意識のうちに放置し、雨などで河川へ流出しています」と仲山教授。改善策として分別収集の徹底や使い捨てプラ製品の削減などを挙げ、「無制限に使うのではなく、適所に適量を使い、マイクロプラスチックになる前に適切に管理・処理することが重要です」と強調します。
調査では、海洋のプラごみのうちレジ袋は8%ほど。仲山教授は「有料化によって減らせるプラごみの量はわずかだが、自主的に削減しようと意識を向ける意味合いは大きい」と話しています
イベント名 | レジ袋有料化 なぜ必要か? |