韮崎市神山町鍋山の会社経営大村義之さん(66)は同所の休耕田を活用し、ホタルが生息する環境整備に取り組んでいます。餌となるカワニナが定着するよう水路を造るなど試行錯誤を繰り返しています。大村さんは「昔ながらの風景を取り戻し、ホタルが飛び交う幻想的な光景を子どもたちに楽しんでもらいたいです」と話しています。
大村さんが整備を進めているのは、韮崎大村美術館から約50メートル東にある約千平方メートルの休耕田。昔は周辺に多くのホタルが生息していたが、30~40年ほど前から姿が見られなくなったといいます。大村さんは「消えてしまった地元の夏の風景を取り戻したい」と、整備を決意しました。
2017年には、奈良県の知人らから譲り受けたゲンジボタルの成虫計約150匹を休耕田に放ちました。16年には成虫が産卵しやすく、幼虫の餌であるカワニナが生息する環境を整えるため、幅約50センチ、全長約70メートルの水路を整備して試行錯誤を重ねました。インターネットで調べるなどして工夫を凝らすが、繁殖には至っていません。
今年は、ホタルの繁殖に詳しい身延町の知人から助言を得て、7月中旬から水路を約1メートルに拡幅する工事に着手。もう一つ水路を増設し、カワニナを増やすことでホタルの繁殖環境を整えることも考えています。7月末には工事を終え、9月ごろゲンジボタルの幼虫を放つ予定です。
大村さんは、同じ神山町鍋山出身でノーベル医学生理学賞を受賞した大村智さんの生家「蛍雪寮」にちなみ、「ホタルの名所として定着すれば多くの人が訪れ、地域活性化にもつながる」と期待しています。「繁殖は苦労も多いが、またホタルが飛び交う場所になるよう活動を続けたいです」と話しています。
イベント名 | ホタル舞う風景再び 大村智さんの生家周辺「名所に」 韮崎・会社経営男性が環境整備 |