レポート
2020.06.13

プラごみ削減 家庭の取り組み

 プラスチックごみの削減策として、7月から全ての小売店にプラ製レジ袋の有料化が義務付けられます。山梨県は先駆けて有料化に取り組む“ノーレジ袋先進県”で、マイバッグ利用は暮らしに根付いています。プラごみ削減を目指す背景には海洋汚染の問題があり、内陸県の山梨には一見遠いようにも思える一方、新型コロナウイルスの拡大による外出自粛で、家庭ごみの増加は身近な関心事です。有料化と、5月30日の「ごみゼロの日」を前に、県民生活とプラごみの関わりについて専門家に聞くとともに、県内小売店の対応、ごみ削減に取り組む家庭や団体の工夫も紹介します。

 県内の一般家庭では、「ごみゼロ」「プラごみ削減」へどんな工夫をしているのでしょうか。
 南アルプス市の長池伸子さんはミックスペーパーとプラスチックごみの分別を徹底し、生ごみはコンポストで堆肥化しています。
 15年ほど前に環境活動を行う団体と出合ったのをきっかけに、生活と切り離せないごみ問題に目が向いたといいます。長男(12)が誕生すると、「暮らしを大事にしたい」という思いも強くなりました。
 きれいなプラスチックごみは、洗う手間もかからず分別できます。「少しずつ分けているうちに『これならできる』ということが増えていきました」。いつの間にか分別が習慣になり、「ゲーム感覚で、ごみを減らすことが楽しくなりました」。ごみ捨ての頻度が週2回から1回に減り、子どもも興味を持って分別に取り組み始めました。

プラごみ削減 家庭の取り組み

◎暮らし変わる
 身の回りのプラスチックごみの多さが気になり始めてからは、弁当を購入する頻度が減り、卵も紙パック入りのものを選んで買うように。プラスチック袋や瓶などの回収の仕組みが整っている点に引かれ、生協も利用しています。「ごみをきっかけに暮らしが変わるのが面白い」と感じています。
 最近、特に心掛けているのはレジ袋をもらわないようにすることです。なじみのコンビニエンスストアでは自然と商品にシールを貼ってくれるようになりました。飲食店で料理をテークアウトする際は、持参した容器に入れてもらいます。「(店員との)関係性を築くことでごみを出さない選択肢が増える」ことにも喜びがあるといいます。「自分が心地いいと思える暮らしをすることが、自然を大切にすることにもつながると思う」と語ります。
 日ごろの料理を一工夫することで、ごみの削減につなげている家庭もあります。甲斐市の矢崎孝子さん(77)は、野菜や使用した材料を余すことなく料理に活用します。食材を乾燥させて長期保存する取り組みも長年実践しています。
 ダイコンやニンジン、ゴボウは基本的に皮ごと調理。皮をむいた際は千切りにして炒めたり、みそ汁の具材にしたりして有効活用します。「アクリルタワシでよく洗えば表面の汚れは落ちます。皮がついたまま食べてもおいしく味わうことはできます」と話します。

◎乾燥させ保存
 一般的な家庭では捨ててしまいがちな食材も上手に“再利用”。スーパーなどで刺し身を購入する際に添えられている「つま」や大葉は水洗いして臭みを抜いた後、天ぷらにして楽しみます。水で溶いた天ぷら粉が余ったら捨てずに取っておき、翌日に野菜とからめて両面をフライパンで焼いて料理し、さらに生ごみを減らします。
 知り合いなどから大量にもらったり、余ったりした野菜などは一口サイズに切った後、屋外で天日干しにして乾燥。長期保存ができるようになり、腐らせてしまう心配がなくなったほか、収穫期が過ぎて手に入りにくい時期や野菜の高騰時に重宝しているといいます。
 また矢崎さんはペットボトル、缶の飲料は基本的に購入せず、ティーバッグの麦茶などを活用。会合に出席した際にペットボトル飲料を受け取ることもあるが、飲み終われば自宅で保管。年3~4回、地域の小学校のPTAが行う廃品回収に、ほかのプラスチックごみとともに出しています。
 「食べ物を粗末にしてはいけない」。矢崎さんの根底にあるのは若くして亡くなった母親の教えです。夫や子ども、孫と5人暮らしの現在も、生ごみはあまり出ていないといいます。矢崎さんは「料理は日々行います。冷蔵庫を開けて消費期限のチェックをするなど、少し意識を変えるだけでも相当なごみ削減につながるのではないか」と話しています。

イベント詳細

イベント名プラごみ削減 家庭の取り組み
\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

甘いたれの「甲州ずし」 魚をおいしく食べる知恵
レポート
2024.11.15

甘いたれの「甲州ずし」 魚をおいしく食べる知恵

温泉水から塩づくり 県立大 増田ゼミ研究 海なし県の名産品に
レポート
2024.11.08

温泉水から塩づくり 県立大 増田ゼミ研究 海なし県の名産品に

ページ内トップへ