富士川町平林の「忍沢養殖場」は、養殖したアマゴから採取した卵を、地域の小学校に寄贈する取り組みを続けています。小学校では教室などの水槽で卵を飼育し、ふ化して成長するアマゴの生態を観察するほか、児童が採卵を体験する機会も設けています。養殖場の秋山富一社長(70)は「飼育を通じて命の大切さを知り、川や魚に関心を持ってほしい」と話しています。
秋山社長は19歳の時に、養殖場の経営を始めました。アマゴやイワナ、オリジナルブランドの「甲斐あかね鱒」、県産ブランド魚「富士の介」などの養殖を手掛けています。
自社で採取したアマゴの卵を小学校に寄贈する取り組みは「命の尊さを実践的に学んでほしい」と、5~6年ほど前から続けています。これまでに富士川町や早川町などの約10の幼稚園や小学校に卵を合計数千個贈りました。学校では教室の水槽で卵を飼育し、児童がふ化する様子や成長ぶりを観察。自社の養殖場で児童が採卵を体験する機会も定期的に設けています。
秋山社長によると、アマゴは放流された後、近場で餌を取れない小さな稚魚は海に向かい、約30~40センチに成長して戻ってくるといいます。「アマゴのように最初に負けても諦めず、経験を積んで大きくなればいい」と、子どもたちに伝えています。
中部横断自動車道沿線の活性化を図る「南アルプス・ネイチャー王国プロジェクト推進協議会」に所属し、アマゴの稚魚放流にも携わっています。「富士川をたくさんの魚が泳ぐ環境にしていきたい」と語ります。
秋山社長は「子どもたちが地元の川や魚に関心を寄せる機会になり、感性を磨くきっかけになればうれしい」と話し、今後も活動を続けていくそうです。
秋山社長は卵の寄贈を希望する小学校の申し込みを受け付けています。問い合わせは、忍沢養殖場、電話0556(22)5155。
イベント名 | アマゴ卵地域の小学校へ |