小菅村漁業協同組合(古菅一芳組合長)は、水産業の発展と振興を目指す「第43回全国豊かな海づくり大会」(豊かな海づくり大会推進委、大分県実行委主催)で水産庁長官賞を受けた。海に面していない山梨の団体が受賞するのは初めて。漁場を使い分けて資源保護に努めたほか、通年で渓流釣りが楽しめる取り組みなどが評価された。古菅組合長は「今後も渓流魚を大切に保護し、来訪者に良い釣り場を提供していきたい」と話している。
大会は、水産資源の保護・管理や海の環境保全の重要性の発信を通じて国内水産業の発展を図ろうと、1981年に大分県で始まった。全国植樹祭、国民スポーツ大会、国民文化祭に並び、天皇、皇后両陛下の主要な地方公務「四大行幸啓」の一つとなっている。大分県で開催された今大会では3部門で計12団体を表彰。小菅村漁協は栽培漁業部門で水産庁長官賞に選ばれた。
村漁協は1999年、ヤマメやイワナなどの渓流魚を保護するため、小菅川に釣った魚を逃がす「キャッチ&リリース区間」を関東地方で初めて導入。上流区間は持ち帰りができる魚を1人につき1日5匹までとする「尾数制限区」としたほか、天然魚の繁殖地となっている三つの支流は釣り禁止とする「永年禁漁区」とした。
約20年前からは禁漁期間だった冬季に「ニジマス釣り区」を設け、釣りの需要にも対応。一連の漁場を川の流域ごとに使い分ける「ゾーニング管理」を全国に先駆けて取り入れた。
11月9、10両日に開かれた大会で古菅組合長が賞状を受け取った。古菅組合長は「小菅村は全国で初めてヤマメの人工養殖に成功した場所でもある。質の高い渓流釣りが楽しめる地域なので、さらに多くの人に訪れてもらいたい」と話した。