甲府市大里地区に伝わる民話を題材にしたアニメ「弦間八兵衛と鮫」の完成を記念した上映会が15日、同市のリッチダイヤモンド総合市民会館で開かれた。沼田心之介監督が作品に込めた思いを紹介。時代背景の解説もあり、参加者が当時の生活や山梨と海の関わりなどを学んだ。
アニメは日本財団と日本昔ばなし協会の「海ノ民話のまちプロジェクト」として制作。江戸時代に活躍した弓名人の八兵衛が、駿河国から海に出て船の行く手をはばむサメと遭遇する物語。
沼田監督は「山梨は海がないが、海とのつながりや人々の海への思いを考えながら楽しんでほしい」とあいさつ。サメについては「海には危険な側面もあり、怖さの象徴として表現した」と話した。
甲斐黄金村湯之奥金山博物館の信藤祐仁館長が作品の時代背景を解説。駿河湾で捕れた魚が中道往還や富士川舟運を使って山梨に運ばれていたことなどを説明した。甲府・山梨学院小4年の大嶋蒼空さんは「山梨から海に行くルートが二つあったことなど、分かりやすく歴史を学べた」と話した。
上映後は、沼田監督らが樋口雄一市長に「海ノ民話のまち」認定証とDVDを贈呈。樋口市長は「アニメは郷土の歴史文化の特徴を生かした地域振興になり、文化財の保存につながる」と話した。
上映会は甲府市教委が開いた「私の地域・歴史探訪」スペシャル事業の一環。よろいかぶとの着付け体験や駿河台大の黒田基樹教授による「武田氏から柳沢氏へ」と題した講演などもあった。
写真=アニメの完成を記念して開かれた上映会でアニメへの思いを話す沼田心之介監督(中央)(甲府・リッチダイヤモンド総合市民会館)