レポート
2021.11.05

生活ごみ不法投棄 「水のまち」の川守れ

市街地に張り巡らされた用水路を富士山の豊富な湧水などが流れ、「水のまち」として知られる都留市で、河川への生活ごみの不法投棄が相次いでいます。市は啓発活動に取り組み、5年前にごみを回収する除じん機を設置。住民団体も積極的に清掃活動を実施しているが、人目の少ない支流域での不法投棄は増加傾向にあるといい、市担当者は「市は豊かな湧水が特長となっている。ごみのないきれいな川を取り戻したい」と話しています。
 「自転車まで捨てられています。いつになったら川にごみはなくなるんだ…」。9月下旬、河川の様子を見に来た市地域環境課の職員は、都留市十日市場の桂川水系・鹿留川と用水路が合流する地点で落胆の表情を浮かべました。周辺には空き缶、靴、ペットボトル、発泡スチロール製の箱…。大量のごみが山のように積み上がっていました。
 同課によると、一級河川である桂川は、山中湖を水源に富士吉田市や大月市などを通り、相模原市へと流れ、相模湾へとつながっています。鹿留川や葛野川といった支流も多く、春先からお盆の時期までは、釣り客がアユ釣りなどを楽しんでいます。
 ただ、一部の支流では生活ごみの不法投棄が目立ち、釣り客などから市や地元漁協に苦情が寄せられるようになりました。不法投棄が相次ぐ背景について、同課は「かつては魚の骨などを川に捨てていた習慣があったため、川に生活ごみを捨てることに対する意識が低いのかもしれません」と分析。意識を変えようと、市や地元の住民団体は回覧板や掲示板などで河川への不法投棄をやめるよう呼び掛けてきました。

除じん機増設へ 
 市は2017年、環境省「平成の名水百選」に選出されている「十日市場・夏狩湧水群」のある夏狩地区の用水路に除じん機を設置。水流で水中のごみを浮かせ、専用のごみ箱に回収する取り組みを始めました。
 設置当初、年間約700㌔だったごみの回収量は、昨年度約570
キロに減少。ごみの量は減少したように見えますが、設置箇所は市内の用水路2カ所にとどまっていて、人目の少ない支流域には生活ごみの不法投棄が相次いでいます。市は本年度、除じん機を増設する予定だが、同課担当者は「機械の設置だけでは根本的な解決はできません。桂川水系全体の河川環境の改善を考えないといけない」と話します。
 地元の河川をきれいにしようと住民団体も積極的に活動しています。山梨、神奈川両県の自治体や事業者、市民などでつくる桂川・相模川流域協議会は1998年の設立以降、他の住民団体と合同で清掃活動を実施し、環境保護を呼び掛けるシンポジウムも開催しています。市民幹事を務める清水絹代さんは「桂川の本流でごみは目立たなくなりましたが、支流ではまだ多い。川にごみを捨てる習慣がなくなればいいのですが」と話します。

住民に呼び掛け
 桂川で釣りを楽しむ愛好家らでつくり、富士吉田市や西桂町の桂川で清掃活動に取り組む団体「ミライ・桂川」(細川功代表)は11月、都留市や都留漁業協同組合と合同で鹿留川での河川清掃を初めて計画しています。コロナ禍で人数制限をした上で実施しますが、地域住民に参加を呼び掛け、桂川流域全体で河川環境を守る意識を醸成させる機会にしたい考えです。
 同課担当者は「河川に捨てたごみは海にまで到達する可能性があります。『水のまち』である都留市から、ごみを垂れ流すわけにはいかない。地域住民と協力しながら、ごみのない川にしたい」と話しています。

イベント詳細

イベント名生活ごみ不法投棄 「水のまち」の川守れ
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