レポート
2022.12.02

富士川に「維持流量」設定 河川環境保全へ

国土交通省は、富士川水系に、河川環境の保全などのために必要な水量の目安「維持流量」を設定する方針を決めました。水量不足や生態系への影響などを指摘する流域自治体からの要望などを受けた対応。年度内に、生態系や景観などを考慮した流量の基準を決めます。将来的な取水制限も視野に、流量の維持に向けた具体的な対策も今後検討していきます。
 想定では漁業や動植物、景観、地下水への影響などの観点で、河川の機能として必要な流量を来年3月までに設定します。その上で来年度以降、維持流量を基に、取水や放水の実態などを踏まえたより厳格な「正常流量」を定め、運用を目指します。
 国交省甲府河川国道事務所によると、富士川水系には現在、国が水利権を許可した計100カ所を超える施設があります。発電所が多くを占めていて、正常流量の協議では取水量の制限も検討項目とし、議論を進めるといいます。
 国交省は2002年度に富士川水系の河川整備基本方針を策定。将来にわたっての河川の在り方などをまとめたが、維持流量は明記しませんでした。事務所は「山間部と都市部の両方に関わる河川という珍しい特徴もあり、当時の設定は困難だった」と説明。以降も設定に向けた議論は進まず、長年の懸案になっていました。
 一方で、流域の一部自治体からは、アユ釣りの環境改善を念頭に「水量を増やしてほしい」などの要望が寄せられてきたといいます。策定から20年が経過した本年度、協議に本腰を入れることにしました。
 10月31日には甲府市緑が丘1丁目の同事務所で維持流量の設定に向けた初回会議を非公開で実施。山梨、静岡両県内の大学教授ら10人程度が参加し、設定する上での課題や協議の進め方などを話し合いました。今後も年度内に複数回開きます。

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イベント名富士川に「維持流量」設定 河川環境保全へ
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